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2019年10月 活動報告

▼ 2019年 10月 活動報告 -理事長 森正暁 -

朝夕は虫の鳴き声も聞かれ、ようやく秋の気配が感じられる季節になりました。

外国人技能実習制度は、主に開発途上国の労働者を一定期間日本で受け入れ、技術や知識を学んでもらい、本国の発展に生かしてもらうことを目的としており、言わば「国際協力・貢献」のための制度と言えます。しかし、実態からみれば、日本の労働者不足を補うための制度となっていることは否めず、多くの課題が浮き彫りになっています。
国籍・地域別でみると、ベトナムがもっとも多く、約13万4千人。次いで中国約7万5千人、フィリピン約2万9千人、インドネシア約2万3千人となっています。(平成30年6月末)

また、技能実習の適正な実施や技能実習生の保護を目的として、平成29年11月に「技能実習法」が施行され、新しい技能実習制度に移行しています。

平成30年に労働基準監督機関が受け入れ先に行った監督指導は、7,344件と前年より大幅に増加し、そのうちの5,160件が労働基準関係法令違反に当たりました(日本人労働者に関する違反も含む)。違反の内訳としては、労働時間がもっとも多く(23.3%)、次いで安全基準(22.8%)、割増賃金の支払い(14.8%)となっています。実習生に対しては、暴行や脅迫、セクハラ、旅券や在留カードを取り上げるといった人権侵害も相次いでいます
また、警察庁によると、平成29年の技能実習生の検挙は1,642人で、統計を取り始めた平成24年から増え続けています。圧倒的に多いのは窃盗です。これには低賃金など、実習生が経済的に困窮しているという背景があると推測されます。
 一方で実習生の失踪も相次いでいます。法務省によると、平成29年の技能実習生の失踪者数は7,089人にものぼりました。 実習生への聞き取り調査によると、失踪した動機については、「低賃金」がもっとも多い67%。また「指導の厳しさ」や「暴力」との回答も合わせて17%程度あることから、待遇の悪さや劣悪な労働環境が、実習生の失踪につながっていることがわかります。
「外国人技能実習制度=悪」ではありません。もちろん法律をしっかりと守り、待遇の良い実習先もあります。ですが劣悪な環境のところも、まだまだ多いのです。

 本年4月には、新たな在留資格「特定技能」を新設する「改正出入国管理法」が施行されました。
私たち「日本ベトナム経済交流センター」も、法改正なども踏まえ、こうした環境改善のために関係各位の後援をいただきながらセミナーを開催してきておりますが、今後もさらに取り組みを継続していきたいと思っておりますので、会員各位のご理解、ご協力をお願いいたします。

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