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2017年4月 活動報告

▼ 2017年 4月 活動報告 -理事長 森正暁 -

 

ようやく桜の開花も聞かれる良い季節になりました。
先月のベトナムの話題は何といっても天皇皇后両陛下のベトナムご訪問であったかと思います。多くのメディアの連日の報道で今まで以上の大きな注目がベトナムに向けられました。
当センターが製作に協力した映画「ベトナムの風に吹かれて」の原作者で、当センターとの関係もある小松みゆきさんが、両陛下がベトナムに残留した元日本兵の家族とのご面会の際にご案内をされました。その印象をVOV5(ベトナムの声放送局)のインタビューに答えておられますのでご紹介します。

インタビュアー: 日本人として天皇皇后両陛下に直接お会いすることは最高の名誉だと思うのですが、小松さんが両陛下にお会いした時のご感想は?

小松: 私にとって天皇陛下は神様のような存在ですからね、大事ですよ。母方の実家には昭和天皇と皇后陛下の額入り写真が床の間に掲げられている環境で育ちました。平成の天皇陛下も美智子妃殿下とのご成婚の時は小学生でしたが、ずうっと特別な存在です。そうした天の上の存在と思って居た方がご高齢を押して、ベトナム訪問されるというのですから嬉しく、ありがたく、同じ空の下にいられるというだけで春からしあわせでした。その上、まさか自分が両陛下に残留日本兵の家族を紹介する役割を担うことになり、光栄の至りです。

ソン: 今回、残留日本兵の家族にお目にかかった両陛下はどんなお言葉をかけられましたか。そして、どんなご様子でしたか。

小松: 1954年に別れて半世紀以上です。なかにはお父さんが帰国するときはお腹の中にいて、父親の顔を知らない人も63歳になっています。残された妻は93歳です。そんな彼らに陛下は「長い間ご苦労されたのですね」とか「大変でしたね」などと声をかけられました。それだけでみんな泣きそうな顔になりました。涙をふいていた人もいます。皇后陛下の手を握ったまま手を離さない人もいましたね。これに対して93歳のスアンさんは「よくベトナムを訪ねてくださいました。私たちに会ってくださり感謝いたします」と凛とした姿で応じて居ました。

ソン: 小松さんが1992年に残留日本兵の家族の話を初めて聞いてから25年経ちましたが、今回の面会が行われるまではいろいろなご苦労があったと思いますが・・・

小松: ありましたね。一番大きな障害は、日本のお父さんと別れてからベトナム戦争になったため再会ができなくなります。国交もないので手紙も届かない・・個人の努力ではどうしようもない大きな壁にぶつかりますが、この短いコーナーではとても語りつくせません。次に、これまで一般にふれられていないことですから、彼らの家に訪問することさえね。この問題はベトナムでは知られていません。どうかご想像ください。今回も日本大使館を窓口に、日本の外務省、宮内庁を通過できるのかどうか・・もう個人レベルを超えるほどの話ですから。

ソン: 今回の面会によって、両国関係の歴史の中で隠されていた1ページが明らかになったと言われていますが。

小松: そうですね。ベトナムの独立戦争に日本人が関わっていたことは関係者以外には、ほとんど知られていなかったのでこれを機に知られることになるでしょうね。そして日本とベトナムの歴史は色々ありながらも今日に至るわけですし、この先もいい関係で続いていってほしいと思いますね。

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