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2008年4月のベトナム動向

★2008年4月

A-年明けからベトナムの物価問題は気になっていたところですが、事は消費者物価だけでなく、経済建設全体に拡大してきたようですね。

B-2月末の閣議で、ベトナム政府は当面の最優先課題に物価抑制を据えましたが、その後もアメリカ経済の減速傾向とドル価格下降、相変わらずの石油国際相場、原材料相場の高止まりなどの傾向は、ついにベトナム経済のかなり基礎的部分にまで影響を及ぼしたとみられます。

A-2月の定例閣議では物価抑制が最優先課題に挙げられ、3月に入って財政通貨関係閣僚会議も行われたと聞きます。

B-3月25日から異例の3日間にわたる閣議の結果、政府はついに今年度の経済成長目標を修正する決意をしました。これにつれて、当然物価抑制目標も修正されることになります。事態は消費物資にとどまらず、鉄鋼、セメントなどの建設資材、輸送費を含めてその他の重要原材料の値上がりも止まらず、農業、工業生産、公共投資プロジェクトも停滞するという状況になったからでしょう。今年第1四半期の成長率も昨年同期を下回ったと見られます。

A-2月段階では、中国からの寒波襲来や疫病の影響などで、農業生産に打撃が加わったと説明されていましたが、事態は経済全体に拡大したわけですね。

B-ズン首相にすれば、悔しい事態でしょう。もっともアメリカ経済の停滞はベトナムだけでなくヨーロッパ、アジア、もちろん日本を含めて国際的に大きな減速を強いていますからね。

A-それでは今後の経済成長の見通しはどうなるでしょう。

B-成長目標を修正するというのは、前世紀末のアジア通貨危機の後に一度例がありますが、これはたいへんな作業で、何より5月国会の承認が必要になります。 経済全般にわたる調整もしなければなりません。まだはっきりしたことは言えないのではないでしょうか。

A-事態がここまで進むとはベトナムの国家指導部も予測していなかったでしょう。3月にはズン首相はヨーロッパのイギリス、アイルランド、ドイツの3国、グエン・フー・チョン国会議長はオーストラリア、日本、韓国の3国を訪問し、それぞれ今後の経済協力にそれなりの成果をあげたと言うことができます。

B-WTO加盟後のベトナムが今の事態を乗り切るためには、国内努力だけでなく、海外の知恵と力を借りなければいけないわけで、その意味で3月の首相、議長の外国訪問は意義があったと言えるでしょう。また閣議で、経済苦境にあるときに、低所得者救済の方針を打ち出したことも見逃せません。

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