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2008年6月のベトナム動向

★2008年6月

A-5月の初旬から始まったベトナム国会で、グエン・タン・ズン首相が今年の経済成長目標を7%に下方修正する提案を行い、ちょっとびっくりさせられました。

B-成長目標の修正というのは、1997年のアジア通貨危機のあと、ファン・バン・カイ首相のときにやられましたが、その後はこんなことはありませんでした。

A-今度の場合は猛烈なインフレ、貿易収支の赤字拡大、株式の低落というどうにもならない現像が顕になりましたからね。

B-石油、食糧などの国際市場が高騰している中で、アジア諸国でも物価は大いに上がっているのですが、ベトナムの値上がりは異常で、この1年に米は1.8倍、豚肉は1.75倍の値上がりです。ただ、ベトナムの高物価はモノがないのではなくて、通貨管理に大きな不手際があったためという解説がなされています。この数年、特に享年は通貨管理がルーズで、これを一度に引き締めるために銀行の通貨取り扱いを乱暴に引き締めたので、かえってインフレを推し進めてしまったというわけです。ズン首相も国会での報告の中で政府機関の不手際を認め、陳謝しています。

A-ある意味では「人災」的な要因もあるということですね。貿易赤字の方はどうでしょう。

B-4ヶ月間の輸出の伸びは、前年同期比27.6%増で、決して悪くはありません。ところが輸入の方は71%も増加し、この結果、貿易赤字も輸出額の60.8%にも拡大してしまった報告されています。要するに輸入が増えすぎたということです。輸入品目は原材料や機会部品など、決して無闇に買い込んだわけではないというのですが、WTO加盟時の輸入拡大の国際公約を律儀に守りすぎたのですね。

A-先進国も同様ですが、株式市場も低迷しています。

B-インフレの背後には国際市場の高騰、米経済の低迷などがありますが、このような外圧の変動に対処し損ねたのが現状で、これでは株式市場も低迷せざるを得ませんね。

A-ちょっとお先真っ暗という現状で、国民的な空気が暗くなってはいませんか。

B-確かに政府当局の不手際には不満が高まり、個人責任を明確にせよとの声が国会の討論の中でも聞かれます。しかし、行き詰まったという閉塞感はそれほど強くなく、工業生産も順調ですし、この国会ではハノイの大都市圏構想も重要議題になっており、躍進する中堅国家にふさわしい近代都市を建設しようという意欲は十分です。政府の本腰入れた対策実行で、インフレの終息、景気回復は近いとの期待感も十分だと思いますよ。

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