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8.12006
2006年8月のベトナム動向
★2006年8月
A-新閣僚の国会承認も終わり、グェン・タン・ズン首相の下に新陳容の政府がスタートしたわけですが、まず取り組むべき当面の課題にはどんなものがあるでしょうか。
B-課題でもあり、頭痛のタネでもある問題が3つほどありますね。まず第一に上半期で目標を下回った経済成長を、如何に引き上げるかということがあります。 経済成長が遅れた直接な原因は、農業生産の伸びが鈍かったことにあります。 下半期には、この点にハッパをかけなければなりません。
A-輸出は割合好調なようですが、基本的生産が遅れては大変です。 第2課題はどんなことでしょうか。
B-党大会や先の国会でも大論議となった運輸省汚職の解明です。事件の発覚は3月段階でしたらから、もうかなりの日が経ていますが、まだ目ぼしい発表はありません。海外の援助国に対しても、きちんとした報告がなければ来年の援助額にも影響します。ところが今のところ、被疑者は増えるがその関連や全容が明確ではないのです。ズン首相もこの状態には相当頭に来ているようで、検察当局に督促を重ねています。
A-世界銀行ではODA関連プロジェクト実施状況の第1次調査を済ませ、現在の管理状況に不満を露わにしています。
B-結局のところ、管理責任がどこにあるのかははっきりしないということですね。 第3の課題は、この7月1日から施行予定だった新しい投資法、企業法の施行細則政令が期日に間に合わないという問題です。WTO加盟交渉の中で、法制整備の目玉となっていたこの二つの法律が、国会を通過しながら施行できないと言うのは何とも格好がつきません。計画投資省筋では9月頃になるのではないかと 漏らしていますが、これも今年の外資誘致実績に大きいに影響する問題です。
A-なるほど、聞いてい見るとどれもかなり深刻な問題で、首相が頭を痛めるのも無理はありませんね。
B-好意的に解釈すれば、猛烈な勢いで進む経済社会情勢に、官僚機構の実務能力が追いついていないという事になりますが、これがブレーキになっても困ります。 1日も早く体制をたて直し、条件の整備も待っている国内の民間セクターや外国投資家の期待に応えてほしいです。
A-下半期はWTO加盟の実現、APECサミットの開催など、発展の弾みになる機会が持ち受けています。頑張ってほしいところですね。
B-これまでも多くの障害を突破してきたベトナムの人たちが、今度もその低力 を発揮することを祈りたいと思います。
A-国有企業とはいいながら、首相が経営トップにまで奮起を促すのは珍しいことですね。
B-これは首相指示の形を取っていますが、その内容は21項目に及び、一般的な任務だけでなく担当分野の活動総括、障害の突破口、建設投資、税制改革、輸出入の促進、WTO加盟後準備など、多岐にわたる詳細なものです。
A-ズン首相も、就任直後にまずまずの成果を得なければと懸命になっているわけですね。
B-首相の面子ということでなくても、9月を終われば今年も第3四半期を過ぎるのですから、低迷から脱しようと焦るのは当然と言えますね。
A-ところで汚職問題は、その後解明が進んでいるのでしょうか。
B-いや、あまり目立った発表はありません。しかし、ベトナム共産党は7月末に第3回中央委員会を開き、中央委員会、政治局、書記局など中枢部門の業務規程を決定するとともに、汚職追放に党の指導性を発揮する決議を採択しました。各業務規程も、汚職追放が強烈な問題意識になっていると思われますね。
A-少々息苦しい一月のようですが、明るい話題はないのですか。
B-これはベトナム国内のことではないのですが、アメリカ上院の財政委員会で、ベトナムにPNTR(恒久的最恵国待遇)を付与する議案が反対ゼロで可決されました。 これから上下両院の本会議での承認がありますが、WTO加盟の流れは順調に進んでいます。
A-加盟実現は結構ですが、その後に強烈な国際競争が待ちうけています。 そのほか、今秋に目立った動きは予想されますか。
B-少々気がかりなのは、物価の動きです。ガソリン値上げが次第に経済全体を脅かし、例えば漁船が燃料高騰で出漁できないなどの報道があります。 また、かなり長期にわたって安定していたドンードル交換レートが、ドルの上昇傾向を見せるなど、不気味な動きが見逃せませんね。