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2010年5月のベトナム動向

★2010年5月

A-3月で第1四半期が終わり、四半期の経済実績が明らかにされました。その実態は如何でしょうか。

B-3ヶ月間のGDP成長率は5.83%。昨年の第1四半期は3.1%でしたから、年間目標の6.5%には届きませんが、長いテト休暇を抱えた時期としては悪くありません。農林漁業部門の生産高伸び率は5.8%、工業部門の伸び率は13.6%、小売サービス関係の売上高は前年同期比24%の増加と報告されています。

A-結構な実績で、これなら「すべて世はこともなし」ですね。

B-ところが良いことばかりではなく、輸出はその後も伸びずに昨年実績より1.6%減少し、もう一つは消費者物価指数が3月で年初以来4.12%の上昇ということです。4月はじめの閣議でも、これらの点が問題視されています。貿易赤字は36億ドルに達して、輸出額の25%強となりました。

A-物価指数も3ヶ月で4.12%の上昇となると、年間目標の7%以下に抑制というのも実現が危ぶまれますね。

B-政府が頭を痛めているのは、こればかりではありません。昨年遅くから続いている河川の水不足が全国的に広がり、水力発電用の貯水池の水位が軒並み大きく下がっています。南部ではメコン川が50年ぶりという渇水状態で、早くも農業分野に深刻な影響を与えています。

A-渇水状態はベトナムだけの現象なのでしょうか。

B-いや、中国南部から旱害が広がり、これがメコン川の流量に直接影響しています。タイなどでは中国のダムの影響だと騒ぎましたが、中国南部の水不足は早くから外電が報じていました。

A-タイのホアフンで開かれたメコン流域国首脳会議はこれが開催理由ですね。突然の開催で驚きましたが、しかし、首脳会議を開いてもメコン川の水量は増えません。

B-中国での渇水ということになりますと、2重の厄介事が起こります。これまで電力不足の時に中国から電力を輸入して急場を凌いでいたのが望めなくなるのがひとつ。もうひとつはメコン川の水位低下でメコンデルタの農業、水産養殖が保障できなくなるのが予期されるということですね。

A-先ほど挙げられた輸出不振、物価値上がりと、全国的な水不足は効果的な即応策が立てられないのが厳しいですね。国会は5月20日から始まるはずですが、そこで政府がどのような方針を報告するのかが、注目されますね。

B-国会代表が政府を批判しても雨が降る訳ではなし。しんどい会期になりそうですね。ただひとつ、日本に関係することではベトナム政府が南北高速鉄道建設に日本の新幹線方式導入を閣議決定したことぐらいでしょうか。

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