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2008年5月のベトナム動向

★2008年5月

A-先月にもお伝えしましたが、このひと月の政府の行動は物価抑制をめぐって目まぐるしい動きを見せましたね。

B-確かに先月下旬の閣議でインフレ問題の深刻さを確かめた後、グエン・タン・ズン首相は共産党政治局、国会常務委員会、ベトナム祖国戦線、国有大企業・総公社などに対し、事態の正確な情報と政府の対策を伝え、政府施策への協力を要請しました。今年はじめからの経済変動は世界的なもので、アジア諸国でも第1四半期の成長率鈍化は共通しているのですが、その中でもベトナムのインフレ率は突出しており、成長目標の引き下げもやむを得ないというところでしょう。

A-ズン首相は素早く具体的な措置も講じたようですね。

B-まず公共料金など政府の管理下にある10項目の価格を今年末まで凍結しました。この中には、ガソリン、電力、石炭、セメント、鉄鋼などの基幹産業の製品も含まれています。また、米の輸出を当面ストップすること、自動車の輸入税を引き上げることなども上げられます。

A-ベトナムだけが突出した物価上昇を示したのには、特別な原因があるのでしょうか。

B-急速なインフレを招いたのは、財政通貨政策の不手際に一因があるとされており、政治局もその点を指摘しています。つまり通貨引き締めは必要だとはいえ、そのやり方が乱暴で、商業銀行のドン不足による金利競争を引き起こし、証券市場への外資の間接投資に障害をもたらすほどの緊縮為替政策を強行したことを指摘されています。

A-5月6日からは国会が開かれ、インフレ抑制問題についての論議が盛んになるでしょうね。

B-首相の動きを見ると、小手先の財政政策の修正だけでなく、多少の不自由を強いられている国民の理解を得て、国民運動としてこの難局を乗り越えようとしているようです。祖国戦線に協力を要請したのも、それが背景にあるのではないでしょうか。

A-しかし事態は深刻だとはいえ、まるでベトナム経済全体が破綻しているような錯覚を起こすのも禁物ですね。疫病の流行や寒害の影響などもありますが。

B-その通りですね。3月の物価上昇率は2月より若干下回っていますし、工業生産の伸び率も僅か1%程度の後退です。ベトナム自身はハノイ市域拡大など発展の姿を顕在化させようと張り切っているわけです。5月初旬から開かれる国会での政府報告で、複雑化した経済成長の姿を詳しく説明されると思います。まずは今年第2四半期以後の政府の舵取りに注目したいと思います。

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