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2010年7月のベトナム動向

★2010年7月

A-第7回ベトナム国会は6月19日に終わりましたが、ベトナム政府当局の表情はやや暗いように思われます。

B-それはそうでしょう、この国会で目玉となっていた南北高速鉄道の建設方針が、必要な賛成票を得られなかったのです。

A-政府側が提出した重要方針が、国会の採択を得られないというのは珍しいですね。

B-そのとおりです。最近では、原子力発電所の建設も大分もめましたが、結局は多少の注文をつけて可決しています。

A-反対派の最も大きい理由はどんな点にあるのですか。

B-簡単に言ってしまえば、計画があまりに大きすぎるということでしょう。ハノイとホーチミン市を5時間半で結ぶ高速鉄道建設の必要費用は560億ドルと言われています。これはベトナムの国内総生産の6割にも相当する巨額です。これだけの費用をかけて2014年から着工し、2025年には部分開通、2035年に全面開通させようと言うわけです。もちろん一時に支出するのではありませんが、数十年にわたってこの巨額の負担に耐え、その間その他の国土建設はいったいどうなるかというのが反対理由といって良いでしょう。

A-確かに今のベトナムの水準では、必要な資金も技術も外国に頼らざるを得ないでしょうからね。政府の論拠としてはどうなんでしょう。

B-政府としては、2020年には工業国となるというのが国民的な目標で、高速鉄道はそのための突破口だというところでしょう。
外国の例を見ても、高速鉄道を建設した諸国は国力を飛躍的に伸ばしているではないかということでしょうね。

A-いずれにせよ、政府としては陣容の建て直しを迫られるでしょうが、その他の話題はいかがですか。

B-5月はいろいろな面でベトナムにとって好調な動きとなっています。不振と評された輸出は意外な伸びを見せ、外国直接投資も新規プロジェクトが急増しました。それもサービス産業よりも製造業、インフラ建設に比重が移っています。第1四半期に急騰した消費者物価指数も、4月、5月とわずかな上昇にとどまりました。もっとも銀行の融資利率が上がり、利率の低いドル融資にお客が殺到していることはありますが、政府の財政通貨政策で落ち着いてくると思われますがね。

A-話はもとに戻りますが、高速鉄道建設計画は日本との関係も深かったはずですが、この点はいかがでしょう。

B-ベトナムからは新幹線方式の導入という誘い水があったり、日本からは閣僚の売り込み訪問があったりしましたが、結局はベトナム政府の体制建て直し方針が固まるのを待つほかはないでしょう。長い目でみた協力姿勢が必要だと思います。

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